読了

「長城のかげ」宮城谷昌光著

劉邦の周辺の人たちの短編集。その人の視点によって、劉邦への感じ方が違うので劉邦の人柄に立体感が出てくる。 項羽の武将の季布、劉邦の幼なじみの盧綰、漢の外交官の陸賈、劉邦の庶長子の劉肥、儒者の叔孫通の五名。どれも横山光輝だとちょい役で、その人…

「代替医療解剖」サイモン・シン著

針、ホメオパシー、カイロ、ハーブをメインに、代替医療の有効性について論じた内容。 ホメオパシーは完全にデタラメだと思っていたけど、針もほぼプラセボというのには驚いた。

「ウィッチャー短篇集2 運命の剣」アンドレイ・サプコフスキ著

本編の前日譚が多いかな。 イェネファーと離れたりくっついたりする話とか、シリとの運命の出会いとか。 ゲラルトの母が出てきてびっくり。てっきり普通の人間の孤児かと思ってたらそうじゃなかった。 ゲラルトはよく、ウィッチャーには感情は無い!と強調し…

「脳科学者の母が、認知症になる」恩蔵絢子著

大学の研究者である著者が、母が認知症になって、脳科学的な分析と母との日常を記した内容。 私も親類が認知症になったことがあるので、この本で書かれる描写はとても身につまされるものであった。冷蔵庫の中が満杯になるとか、衣服が山となって積んであると…

「キャベツにだって花が咲く」稲垣栄洋著

前に読んだ稲垣先生の新書。 shpolsky.hatenablog.com 内容は野菜の個別の紹介で、花とか実とかの形状の紹介が多い。世界史の方とかぶっているところも多いかな。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ」上下 ウォルター アイザックソン著

レオナルドのノートに焦点を当てた評伝。 モナリザとか最後の晩餐、展覧会で見たアンギアーリの戦いくらいしか知らなかった。 代々公証人の家に非嫡出子として生まれる。この時代に非嫡出子としてのデメリットはあまりなかったものの、公証人組合は非嫡出子…

「人生100年時代の年金・イデコ・NISA戦略」田村 正之

2021年の本。2022年の改正までの内容です。 年金はの本質は保険であると言ってて、確かにそうかもと思っちゃう。 これでもかというくらい内容が盛り込んであるので、ぱっと見ただけでは内容が覚えられない。節目に見直して、参考にすると良いかも。

「戦国大名・北条氏直」黒田 基樹著

戦国大名北条氏五代目氏直の伝記。 最後の当主ということで、小田原攻めで滅んでしまう。 四代当主氏政が実権を握っていて、氏直は影が薄いと思われていたが、実際は氏政は軍事外交を主導し、氏直は統治を担当していたそうな。とは言っても、北条氏の統治機…

「世界史を大きく動かした植物」稲垣 栄洋著

世界で一番作られている植物はトウモロコシ。主食としてというより、食べ物の原料に使われている。 主食の次に作られているのはトマトというのには驚き。 ヨーロッパでトマトやトウモロコシ、ジャガイモ等がまだ渡ってこなかった時は何を食べていたのか謎。…

「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」遠藤秀紀著

今のニワトリは白色レグホンは年間タマゴ290個産むし、ブロイラーは8週間で成育して出荷されるという経済性が極まった家畜である。 ラオスにいるというニワトリの原種は、タマゴの数は少ないし、縄張り意識が非常に強いという家畜に向かない生き物だった。こ…

「キャンセルカルチャー: アメリカ、貶めあう社会」前嶋 和弘著

アメリカ社会の対立軸。社会の断絶が過去最高レベル。 読んでて絶望的な感じの対立の深さであるけど、最後にアメリカは権利を拡張する方向に前進してきたと〆る。 著者はリベラルに肩入れしている書き方で、私はアメリカのリベラル的物言いに偽善を感じてそ…

「ウクライナ戦争」小泉悠著

ウクライナ戦争開戦前から、9月現在までの著者による振り返り。 著者の軍事的見解では、ロシアの侵攻は近いと思われたが、ロシア的見解では侵攻なんてないだろうと思われて楽観的な見通しをしてしまっていた。 プーチンの開戦理由は、ウクライナはロシアの勢…

「RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる」デイビッド・エプスタイン著

タイガー・ウッズは三歳からゴルフを始め、父親の英才教育で伝説的なゴルファーになった。このように幼少の頃から専門教育をすることがスペシャリストを育てるのに最適というイメージはあるが、実際はそうでもないよというお話。 読んでてしんどくなる量の大…

「新説戦乱の日本史」

どこまで定説になっているかわかりませんが、最近の日本史に関する新説。 歴史書を後の為政者が都合の良い用に書いていると考えて読むと、蘇我入鹿はそんなんい悪逆じゃないというのは面白かった。 千田先生の、中国大返しは信長の御座所を活用したという話…

「殿様は「明治」をどう生きたのか2」河合 敦著

小笠原長行は継嗣なのに老中になって、五稜郭まで行って抗戦。記録上では大名をついではないのね。 加納久宜は上総一ノ宮藩主で、明治には校長やったり議員やったりして、鹿児島県知事になって、全国で低位だった進学率を全国のトップレベルに引き上げ。農業…

「ソ連核開発全史」市川浩著

ソ連初期の核開発から、崩壊後ロシアの状況まで。 アメリカに潜入しているスパイの情報で開発したと思ったら、防諜工作のお陰で全情報が取れていたわけではなく、ソ連技術者による研究開発の重要性も大きかったとのこと。 初期の黒鉛炉の成功から、原子炉の…

「殿様は「明治」をどう生きたのか」河合 敦著

幕府系の殿様の話が多くて、幕末に苦労して明治に一旦没落という話が多い。 ただ、エリート教育を受けているからか、明治に政治家官僚実業家をやってる人も多い。 電子版特典に「『禁断の江戸史~教科書に載らない江戸の事件簿~』」の一部付き。 こちらは禁…

「酔鯨 山内容堂の軌跡 土佐から見た幕末史」家近 良樹著

幕末ファンの間ではあまり評価の良くない山内容堂の詳細な生涯。 イメージ的には土佐で酒飲みだからひげマルケ親父的だったのですが、実際はイケメンで居合の達人で勉強家。とんでもない酒豪。 山内家の傍系の出で、土佐で生まれ育った。主家が続かなくて継…

「2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か」太田 泰彦著

アメリカは半導体を戦略物質ととらえ、自国内でサプライチェーンが完結するよう米国内にTSMCの工場を誘致し、中国への技術移転を禁止するように進めている。 この本を読むことで、半導体産業の上流から下流まで、世界中が攻防を繰り広げている概要をつかむこ…

「太平天国」4巻 陳舜臣著

最終巻。ついに首都天京を得た太平天国。 苦労 は共にできても、安楽は共にできないの言葉通り、激しい権力闘争が始まる。東王楊秀清、北王韋昌輝は粛清され、人望のある石達開は洪秀全の親族に妬まれ、独立行動で天京から離れていく。 歴戦の将がいなくなっ…

「太平天国」2,3巻 陳舜臣著

全四巻のうち2,3巻。 太平天国軍は永安での清軍の包囲の突破に成功し、北上する。清は阿片戦争で莫大な賠償金を払うために増税を重ね、庶民の不満は頂点に。太平天国軍は移動するたびに清に不満を持つ人々を吸収し、拡大を重ねる。 ただ途中の桂林や長沙は攻…

「太平天国」1巻 陳舜臣著

全4巻のはじめ。 「阿片戦争」に出てきたキャラが主人公として出てきたので驚いた。阿片戦争の主人公格の大商人の息子が太平天国の主人公格。太平天国に客人として入り込んで、このキャラが見聞きしたことで話が進む。 阿片戦争ではイギリスとの戦争を描きつ…

「脱税の世界史」大村 大次郎著

歴史的な脱税の話から、最近のタックスヘイブン等の話。 国の盛衰は税金徴収にかかっているとの指摘で、興隆している国家は税金徴収がうまく回っていて、税金徴収する部分が腐ってくると庶民の生活が苦しくなって国家は衰亡する。 近年のビートルズの節税の…

「暗殺者の追跡」上下 マーク・グリーニー著

グレイマンの彼女のゾーヤの家族設定の深掘り回。 CIAの暗号化資産ヴァイオレイター、アンセム、ロマンティックの共闘が見られます。 今回はグレイマンはやられる描写が多くて、超人的な活躍はあんましなかったのが残念。チーム戦がテーマなのかな。 ゾーヤ…

「中国の歴史 近・現代篇(二) 」陳舜臣著

ついに革命軍は武漢で蜂起に成功。その後は各地で革命が広がり、清の勢力圏は首都周辺まで追い込まれることに。南京で共和国政府が成立、孫文が初代総統に就任。 清では袁世凱が実権を握り、共和国と講和。皇帝は退位宣言。袁世凱が次期共和国総統になること…

「中国の歴史 近・現代篇(一) 」陳舜臣著

日清戦争後から義和団の乱、同盟会成立。 変法運動戊戌政変のあたりは浅田次郎の小説で読んだ記憶があり、西太后のキャラクターは浅田次郎はかなり良い人と書いてたけど、こっちは権力の亡者って感じ。 改革派として康有為や孫文が出てきて、康有為は皇帝主…

「「東国の雄」上杉景勝」今福 匡著

角川新書。上杉景勝の生涯。 謙信や直江に比べるとあまり目立たない人だけど、実際に残ってる書状は直江より何倍も多いとのこと。 まず謙信が死んだあとは景虎と内戦して、その後は新発田の反乱、織田の侵攻で滅びる寸前。いち早く秀吉に臣従して五大老の一…

「モメない相続」長谷川裕雅著

相続揉めるポイントの事例集。 兄弟同士では穏便にしようと思っても、配偶者が出てきて揉めるのが定番。 自分もそのうち当事者になるので、変なことにならないように考えとかないとな。

「暗殺者の潜入」上下 マーク・グリーニー著

今回は休暇の間のお話ということで、CIAのメンツは出てきません。ただミッションの難易度はいつにもまして無茶苦茶なのでした。 大統領の名前は変えてあるけど、シリアの状況が詳細に書かれていてどこまで本当なのって感じ。シリアには政府軍、政府側の私兵…

「ウクライナ戦争の200日」小泉 悠著

著者と7人の識者の対談。 先日読んだ「ウクライナ戦争と米中対立」に比べると、安全保障専門の人は少ないので、バラエティに富んだ内容。