「神聖ローマ帝国」菊池良生著

講談社現代新書

神聖ローマ帝国の通史。全体を通しての歴史はよくわからなかったので参考になった。

神聖ローマ帝国東京ドイツ村とかカップ焼きそばみたいな、名前が全然実態と合ってないという鉄板ネタがある。

カール大帝がフランス・ドイツ・イタリアを統一して以降ローマ帝国の後継国家という自負があるんだな。途中からドイツ人の国になっちゃったけど。

ローマ教皇が即位されるから神聖かと思ってたら、実際は教皇に対抗して神聖とつけたのが最初だそうな。

皇帝は教皇やドイツ諸侯やフランス等の間でアップアップしてる可哀想な存在っぽい感じ。たまに強い時代もあるけど。

アウステルリッツ三帝会戦のくだりで、ロシア皇帝は東ローマの後継だが、フランス皇帝ナポレオンはまったく僭称という話はなるほどという感じ。会戦で負けたあと神聖ローマ帝国は解散になって、オーストリア皇帝と変わっちゃう。このへんはナポレオンを参考にしたのかという推測があり。

ヨーロッパユニバーサリスという中世のシミュレーションゲームがあって、HRE(Holy Roman Empire)はいつもまとまりが悪くて難易度が高かった思い出。

「海の祭礼」吉村昭著

ペリー来航前、白人とアメリカ先住民のハーフの青年マクドナルドはアメリカ社会に失望して憧れの日本に向かう。捕鯨船に乗って、偽装漂流で利尻島に上陸。長崎に送られ、迎えの船が来るまで監禁状態に。その間に英語の重要性を痛感していた通詞森山栄之助はマクドナルドから英語を学習する。

マクドナルド送還後、日本にペリー艦隊が来航し、激動の時代に突入するのだった。

英語を学習した森山は外交交渉の矢面に立つことに。

ペリー艦隊が日本来航に至る経緯、外交交渉の流れが詳細でとても参考になった。日本開国の目的は捕鯨基地の確保、米中間の太平洋航路の確立が主で、日本との交易はあまり重要視されてなかったのね。

幕末外交の過酷差には恐れ入る。舵取り誤ったら日本は植民地だったなあ。

「関ヶ原大乱、本当の勝者」

朝日新書。各大名の動向を一次資料から検討した内容。一章ごとに筆者が違う。

東北の上杉最上の戦いが面白い。最上の奮戦で直江は目標を達成できず。伊達は100万石のお墨付きを貰っていたが、これは切り取り次第という意味で、一応占領地は貰えている。

前田利長は一見勝ち組のように見えて、実は五大老から一大名に政治的地位は低下。

鍋島直茂、勝茂親子と龍造寺との関係は難しく、一応家督は龍造寺なんだけど鍋島が継承することは規定事項。直茂は家康派だが、勝茂が若気の至りで西軍についたぽい。

「イネという不思議な植物」稲垣栄洋著

前半がイネの生物学的特徴で、後半が日本におけるイネの歴史的役割。

イネ科植物はそのへんの雑草かと思っていたら、実はかなり特殊な進化を遂げているとあってびっくり。乾燥地帯で生きるために成長点を下の方において、上部を食べられても成長可能。ケイ素で細胞を作ることによって、食べられにくくした。それでも草食動物は消化するための進化を重ねているわけだが・・・・

米は湿地で育てやすいかと思ったら誤解で、湿地では治水をして水をコントロールしないと育てられない。江戸時代より前は、水がコントロールできる谷とか山の中腹でないと育てられない。戦国武将が山に城を作っていたのは防御だけの問題ではなかった。

江戸時代になって平和になると治水をして新田開発が進むことになる。

「子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学」渡辺弥生著

光文社新書

子どもが10歳くらいで直面する壁の話。

感情が複雑化し、友人関係も複雑化し、悩むことが増える。

飛躍の時と言い換えることもでき、周囲の大人が適切にサポートすることで成長に繋げられる。

「藤原氏―権力中枢の一族」倉本一宏著

藤原氏の成立からの歴史。

中臣鎌足が藤原姓を受けて成立し、不比等持統天皇と統治システムを作り上げるところまではがんばって読んだ。4兄弟以降は同じことの繰り返しみたいな感じで、飛ばし読み・・・いかに天皇外戚になって実験握るかという権力闘争を延々と繰り返す諸行無常の世界。

日本史を網羅できたかな・・・

「寄生虫館物語」亀谷了著

目黒の寄生虫館初代館長による寄生虫よもやま話。

いろいろな寄生虫の話があって勉強になった。サナダムシは節ごとに精巣と卵巣があって、他の節から受精するとあったが、自家受精ではないのだろうか?

オスメスが寄り添ってずっと一緒の種も結構いるのね。

終わりのほうは寄生虫館の歩みで、最後には初代館長の孫による現代の寄生虫館の話もあって面白かった。10年くらい前に行ったけど、2018年にリニューアルしたというのでもう一度行ってみたい。