「偶然の科学」ダンカン・ワッツ著

社会学に法則は見つかっているのか、偶然で成り立っているのではないかという内容。

因果関係が成り立っているように見えても思い込みに過ぎないという話が勉強になった。

ニコラスタレブのブラックスワンも、事件それ自体が問題ではなくて、事件が引き起こす結果が重大であって偶然の要素が強くて予測は困難という。

予想は困難なので即応できるような体制にしとけってことかな。未来に対応するより、今現在起こっていることに対応する。

「王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷」岩佐淳士著

タクシン派と反タクシン派の対立構造がよくわかっていなかったのですが、この本で内実を知ることができました。

反タクシン派は王政派で、王を頂点とした秩序を守ろうとする。都市部と農村の格差は解消されない。タクシン派は自由主義的なタクシンによる改革で、農村部の所得向上を目指したため農村部の支持が多い。普通は都市部がリベラルで地方が保守的ですが、タイでは立場が逆転している。さらに王の権威が絶対化しているのが混迷に拍車をかけている。

プミポン国王は名君であったが対立構造を残したまま逝去し、不祥の息子が後を継ぐと。今の国王はネットで見る限りではヤバそう。

「三国志外伝」宮城谷昌光著

マイナー人物列伝。登場キャラは王粲、韓遂許靖公孫度、呉祐、蔡琰、鄭玄、太史慈、趙岐、陳寿楊彪、劉繇で、途中他の人の話の寄り道もあったりします。

韓遂太史慈あたりが面白かったかな。陳寿の師匠の譙周は、蜀の劉禅に降伏を薦めたので演義だと不忠者扱いだったと思いますが、この本だと大学者な扱いで面白い。

「独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで」楊海英著

文春新書。著者は中国国内のモンゴル民族出身で、内側にいながら外側からの視点で見ることができた。

内容はほとんど毛沢東の悪行。中国共産党中華民族中心思考で、周辺の諸民族がいかに弾圧されているか。

「三体」劉慈欣著

中国人作者による、やたらスケールのでかいSF小説。実のところ三部作の一作目で、救いのないところで次回に続く。

全人類の命運に関わる展開で、昨今のコロナウイルス騒ぎに雰囲気が近いような気がして、ちょっとメンタルに来る。

文化大革命の描写が迫真で、ここのぶんだけ抜き出してSFじゃない小説作っても良いのではと思ったりする。

後半からはやたらスケールのでかい大風呂敷敷きまくりで、どうやって収拾つけるのかと心配に。

連星系で調べたら、観測上ではよくあることで、6連星なんてものあるのね。そんな環境生物無理ゲーすぎ。

「無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争」ポール シャーレ著

ビル・ゲイツ推薦本ということで読んでしまう。

自立型兵器が倫理的にどうなのかという議論が主要な内容。

米軍は完全自立型兵器にはそれほど乗り気ではないような記述。

「戦車将軍グデーリアン 「電撃戦」を演出した男」大木毅著

角川新書。独ソ戦に続いて、グデーリアンの評伝。

グデーリアンは名前くらいしか知らなかったけど、ドイツ装甲部隊の父の一人なんですね。

前著独ソ戦でドイツ軍について、戦術的には強いけど戦略的視点に欠ける、ナチスの暴虐とは無関係ではなかったとありましたけど、グデーリアンにもそのまま当てはまります。

戦略的視点に欠けるというのは、ドイツ人の気質的なものか、軍の学校の内容に問題があるのか知りたいところ。そのあたりは日本人にも当てはまりそう。

ポーランド侵攻、フランス侵攻、独ソ戦序盤の展開はとても面白い。実はドイツ軍に電撃戦という言葉はなく、戦後に作られたイメージという指摘があり。

電撃戦はもてはやされますけど、ソ連の縦深攻撃のほうが広域的ですごいですね。