読了

「驚異の量子コンピュータ: 宇宙最強マシンへの挑戦」藤井啓祐著

阪大の量子ビット誤り訂正が専門の教授による解説本。 量子コンピュータの動作原理、開発の歴史、現状、将来の発展等々の解説。 11月のgoogleによる量子超越性の実証のニュースも触れられていて、実にホット。 理論的には実現性が示されていて、後は技術的困…

「サイゴンのいちばん長い日」近藤紘一著

サイゴン陥落時に現地駐在のサンケイ特派員が見聞きした情景。 映像の世紀では、サイゴンから逃げてきたヘリが空母に乗り切らずに海に捨てるシーンを見て、実際のサイゴン陥落はあんまなかったと思う。 大変だったのは政府関連の人間で、庶民はわりと日常を…

「息吹」テッド・チャン著

待望のテッド・チャンの新作だ\(^o^)/ 「商人と錬金術師の門」「息吹」めちゃくちゃ名作なんだけど・・・既読だった(ノД`) アンソロとかで読んだのかな。 全体的に自由意志がテーマの作品多し。 「不安は自由のめまい」は最初どういうシステムか理解できな…

「宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃」加藤文元著

望月教授のIUT理論の一般向け解説書。 IUTは宇宙際タイヒミュラーのことで、際というのは国際という何かの間という意味だそうな。つまり宇宙と宇宙の間が宇宙際なんだな。 数論の和と積の絡み合いを解決するために、和と積を違う宇宙に置いて、宇宙際は限定…

「「悟り体験」を読む: 大乗仏教で覚醒した人々」大竹晋著

新潮選書。基本は禅宗で、真言宗や浄土宗等他の派の人も少し。 最初は菩提達磨から始まる中国禅の人の体験談で、その後は主に臨済宗の前近代から近代の体験談。 筆者の分析によると、悟りはいくつかの段階を踏むもので、最初の自他亡失体験は他の宗教でもあ…

「21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考」ユヴァル・ノア・ハラリ著

ユヴァル・ノア・ハラリの新刊。前作の内容を踏まえて、どう生きればよいのか議論の種的なお話。 今日の人類の危機として、核、環境、破壊的技術がある。 感心した話として、自由主義というお話は20世紀はファシズムと共産主義に打ち勝ったが、現在では力を…

「平家物語の女性たち」永井路子著

平家物語に出てきた女性の列伝。 大抵は夫や子供と死に別れて出家するパターン。平家物語は源氏物語と違って、庶民へ琵琶法師が語るものだから、庶民受けする展開が多いのだそうな。だから類型的なキャラ付けが多いのね。 最後の二位の尼が一番感動的。壇ノ…

「新版 相続はおそろしい」平林亮子著

相続でありがちなトラブルのサンプルケースを解説。 連帯保証人も相続対象であることがかなり恐ろしい。知らされずに相続すると、急に借金取りが押しかけてくる羽目に・・・しかも相続後だと放棄はできない。 不動産の共有名義もかなり怖い。これたまに聞く…

「「階級格差」時代の資産防衛術」須田慎一郎著

現代日本の状況についてリアルに示してきて参考になる。 国がどういうふうに持っていこうとしているかをちゃんと認識することが重要ですな。 銀行が個人を食い物にしようとしているというのは感じていること。

「三国志読本」宮城谷昌光著

宮城谷先生が三国志を連載中に行った各界の著名人との対談集。三国志とは関係ない昔のもある。 吉川晃司とか宮城谷ファンの人との話が盛り上がって面白い。学者とかは自分の話に持っていくのでちょっと面白くない。 古代の中国人は下着履いてないという話が…

「言葉の皮を剥きながら 岩倉具視」永井路子著

永井先生は前に炎環を読んで、鎌倉武士は蠱毒みたいだなあと感心した記憶があります。岩倉具視が何をやったかよく知らなかったので、読んでみたところ、小説ではなく評伝でした。 岩倉具視を主人公としたというより、岩倉具視を中心とした幕末の歴史の流れを…

「ことばの発達の謎を解く」今井 むつみ著

乳児や幼児がどのようにことばを習得しているか。 大人が外国語を学ぶときは、外国語を母語にトランスレイトしながら学ぶわけで、それに対して赤ちゃんは母語がない。かなり高度なことをやっている。 幼児のいい間違えはかなり高度なことをやっていることを…

「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール著

主に複式簿記の歴史。 中世のイタリア都市国家で発明され、その後ちゃんと帳簿つけてる国は繁栄し、付けてない国は破産するというお決まりのパターンが繰り返される。 国家財政を公開しちゃったら、王と国民への予算配分のあまりの格差にフランス革命始まっ…

「管仲」宮城谷昌光著

上下。斉の桓公の宰相管仲の話。 宰相の話というより、親友鮑叔牙との友情がメイン。 話の前半はひたすら雌伏の時で、後半の山場でも管仲は鮑叔牙に負けちゃう。それでも鮑叔牙は国を想って管仲を推挙するのね。 管仲の何がすごいかはいまいちよくわからなく…

「「乳と蜜の流れる地」から―非日常の国イスラエルの日常生活」山森みか著

イスラエル人と結婚してイスラエル在住の人による日常生活の話。 イスラエルと言ったら、ユダヤ教徒でパレスチナをがんがん攻撃してるみたいなイメージだけど、日常生活は全然イメージなかったので新鮮でした。 家族を持つことが人生の大目的で、養子を取る…

「大乗仏教―ブッダの教えはどこへ向かうのか」佐々木閑著

佐々木先生による、大乗仏教の各宗派ごとの解説。 仏陀の元々の教えと比較してどこが違うかわかりやすく解説していて、結構攻めた内容。佐々木先生は、救われる人がいれば価値があるとかフォローしてるけどあまりフォローになっていないような・・・ 巻末の…

「道元入門」角田泰隆著

前半が道元禅師の事跡で、後半が思想について。 中国に行ったときの如浄師を始めとする中国僧侶との逸話がとても面白い。 後半は澤木興道師の言葉が結構多いかな。筆者の解釈が多いので、他の書物も要確認といったところ。

「源義経の合戦と戦略 ―その伝説と実像―」菱沼一憲著

文献の比較検討で義経の実像を探った内容。 物語だと義経は奇襲とか新戦法を駆使したような感じですが、実際は事前準備や地方勢力との調整に時間をかけて合理的に作戦を進めています。 また、政治性がなかったので頼朝の怒りをかって滅びたという書き方をさ…

「平清盛と後白河院」元木泰雄著

最近元木先生の本ばっかり読んでる気が。これは清盛と後白河院の関係が主要テーマ。 今まで無能とされていた信頼や成親の役割とか、長男の平重盛の立ち位置とか。信頼の兄が平泉で重鎮になっていたとはね。 清盛没後の源平合戦における後白河院の動静が新規…

「源平争乱と平家物語」上横手雅敬著

平家物語の個別エピソード集。主要人物のエピソードとか、主要舞台の解説とか。 元木先生の本に比べると、信頼の評価とか通説寄りな感じ。同じような話が多いので飛ばし気味に読了。

「保元・平治の乱 平清盛 勝利への道」元木泰雄著

元木先生の本で前に読んだ「平清盛の闘い」は清盛が主役で、今回は保元・平治の乱の群像のお話。 藤原信頼は、ドラマとかだと無能の典型でなんで首魁になったのかよくわからんところがあったのですが、摂関家没落後の武力の元締め的な存在だったとのこと。歴…

「武士とはなにか 中世の王権を読み解く」本郷和人

権門体制論や東国国家論という中世の国家感に対して、実情との乖離について書いた内容・・・かな。若干内容が散漫としてテーマが感じられないような気がする。 鎌倉幕府から足利幕府に変わって、西遷したのは土地から通貨重視になったからという話が参考にな…

「平清盛の闘い 幻の中世国家」元木泰雄著

平清盛個人の伝記というより、何をやろうとしたか、なぜ失敗したかを王家や公家、武士との関係を交えて書いてます。 後白河法皇が権威も政治力もないとけちょけちょに書かれていてワロタ。 平家一門が武家でありながら、政治の中枢についたのは、政治勢力に…

「土の記」高村薫著

上下巻。大宇陀の農夫の日常。日常と言っても、なんかしら事件があったり、農夫の認知力がふわふわしていたりで、わりと不穏な雰囲気が最後まで続く。 大宇陀は以前水分神社や大宇陀城あたりをレンタサイクルで回ったので、どんな感じかはイメージできる。そ…

「協力と裏切りの生命進化史」市橋伯一著

光文社新書。 生物と非生物の違いとして、協力関係が重要という内容。 細菌、真核生物、多細胞生物、動物の社会性、人間の社会と大小のスケールで協力関係が紹介される。 協力しているから繁栄しているかというとそうではなくて、実際は単純な細菌が最も繁栄…

「花の歳月」宮城谷昌光著

貧しい家に生まれた娘が後宮に上がることになり、変転の末皇后になるお話。 漢の高祖劉邦亡き後の呂氏専制の時代で色々ドロドロしているものの、わりとさらっとした展開。おとぎ話みたいな感じ。 老荘思想がテーマかな。人間万事塞翁が馬みたいな感じ。

「認知症は早期発見で予防できる」青柳由則著

NHKで認知症関連の番組作ったディレクターの書き下ろし。 2016年の本なので、ちょっと古いかもしれない。 アミロイドβが脳に蓄積するのが原因と思われていたが、アミロイドβを除去しても症状は改善しない。実は発症する20年前から軽度認知障害MCIが進んでい…

「承久の乱 日本史のターニングポイント」本郷和人著

文春文庫。 鎌倉幕府は朝廷とはどう違うのか、鎌倉幕府の成立や承久の乱の意味合い等から解説した内容。 天皇を頂点とした国家機構と、御恩と奉公で繋がった地方領主の政権との相克だそうな。 源氏の将軍が三代で滅んだあと、生き残った北条が新たに王になっ…

「海軍乙事件」吉村昭著

主に第二次大戦の話の短編集。 題名の海軍乙事件と甲事件の話があります。 乙事件は古賀連合艦隊司令長官が飛行艇で移動中に行方不明になった事件で、 甲事件は山本連合艦隊司令長官が飛行機で移動中に撃墜された事件。 この本では、古賀長官の乗った行方不…

「侠骨記」宮城谷昌光著

春秋やそれ以前の話の短編集。 百里奚や某ビッグネームの話が面白かった。 百里奚は若い時から仕官しようとしてもうまくいかなくて、老人になって人生諦めたら逆に宰相の道が拓けたという稀有な運命の人。あの秦が昔は有徳だったのね~とおとぎ話みたいな感…