読了

「保元・平治の乱 平清盛 勝利への道」元木泰雄著

元木先生の本で前に読んだ「平清盛の闘い」は清盛が主役で、今回は保元・平治の乱の群像のお話。 藤原信頼は、ドラマとかだと無能の典型でなんで首魁になったのかよくわからんところがあったのですが、摂関家没落後の武力の元締め的な存在だったとのこと。歴…

「武士とはなにか 中世の王権を読み解く」本郷和人

権門体制論や東国国家論という中世の国家感に対して、実情との乖離について書いた内容・・・かな。若干内容が散漫としてテーマが感じられないような気がする。 鎌倉幕府から足利幕府に変わって、西遷したのは土地から通貨重視になったからという話が参考にな…

「平清盛の闘い 幻の中世国家」元木泰雄著

平清盛個人の伝記というより、何をやろうとしたか、なぜ失敗したかを王家や公家、武士との関係を交えて書いてます。 後白河法皇が権威も政治力もないとけちょけちょに書かれていてワロタ。 平家一門が武家でありながら、政治の中枢についたのは、政治勢力に…

「土の記」高村薫著

上下巻。大宇陀の農夫の日常。日常と言っても、なんかしら事件があったり、農夫の認知力がふわふわしていたりで、わりと不穏な雰囲気が最後まで続く。 大宇陀は以前水分神社や大宇陀城あたりをレンタサイクルで回ったので、どんな感じかはイメージできる。そ…

「協力と裏切りの生命進化史」市橋伯一著

光文社新書。 生物と非生物の違いとして、協力関係が重要という内容。 細菌、真核生物、多細胞生物、動物の社会性、人間の社会と大小のスケールで協力関係が紹介される。 協力しているから繁栄しているかというとそうではなくて、実際は単純な細菌が最も繁栄…

「花の歳月」宮城谷昌光著

貧しい家に生まれた娘が後宮に上がることになり、変転の末皇后になるお話。 漢の高祖劉邦亡き後の呂氏専制の時代で色々ドロドロしているものの、わりとさらっとした展開。おとぎ話みたいな感じ。 老荘思想がテーマかな。人間万事塞翁が馬みたいな感じ。

「認知症は早期発見で予防できる」青柳由則著

NHKで認知症関連の番組作ったディレクターの書き下ろし。 2016年の本なので、ちょっと古いかもしれない。 アミロイドβが脳に蓄積するのが原因と思われていたが、アミロイドβを除去しても症状は改善しない。実は発症する20年前から軽度認知障害MCIが進んでい…

「承久の乱 日本史のターニングポイント」本郷和人著

文春文庫。 鎌倉幕府は朝廷とはどう違うのか、鎌倉幕府の成立や承久の乱の意味合い等から解説した内容。 天皇を頂点とした国家機構と、御恩と奉公で繋がった地方領主の政権との相克だそうな。 源氏の将軍が三代で滅んだあと、生き残った北条が新たに王になっ…

「海軍乙事件」吉村昭著

主に第二次大戦の話の短編集。 題名の海軍乙事件と甲事件の話があります。 乙事件は古賀連合艦隊司令長官が飛行艇で移動中に行方不明になった事件で、 甲事件は山本連合艦隊司令長官が飛行機で移動中に撃墜された事件。 この本では、古賀長官の乗った行方不…

「侠骨記」宮城谷昌光著

春秋やそれ以前の話の短編集。 百里奚や某ビッグネームの話が面白かった。 百里奚は若い時から仕官しようとしてもうまくいかなくて、老人になって人生諦めたら逆に宰相の道が拓けたという稀有な運命の人。あの秦が昔は有徳だったのね~とおとぎ話みたいな感…

「紙の動物園」ケン リュウ著

中国系の作者によるSF短編集。情緒的でハード差を減らしたテッド・チャンと言ったところか。 私はテッド・チャンのゴリゴリハードのほうが好きかな。

「墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便」飯塚訓著

日航機墜落事故の遺体判別現場。 警察、医師、歯科医、看護師の努力で、飛散した遺体が判別していく様子は頭が下がる。 日本人と外国人の遺体への感覚が違うのはたまに聞くことで、私はどうせ燃やすのだからそんなにがんばって判別しなくても良いのではと思…

「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」大木毅著

岩波新書。近年の情報公開で情報がアップデートされた独ソ戦の全体像。 以前パウルカレルの戦記物を何冊か読んだのですが、国防軍擁護の捏造があるとかで、ドイツではもう絶版とのこと。 独ソ戦を始めるのを指示したとか、モスクワを軽視したとかはヒトラー…

「サイコパスの真実」原田隆之著

ちくま新書。サイコパスに関する犯罪心理学における説明。 サイコパスはどういう特性から成り立っているか。特性の濃淡によってどういうタイプがあるか等参考になる。 私の人生で確実にこいつはサイコパスという人に会ったのはそうそうないけど、一度仕事を…

「老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体」鈴木大介著

オレオレ詐欺等、老人を狙う組織犯罪の実態。2015年の本なので、手口的には変わっているかも。 徹底した組織運営や社員教育、モチベーションの高さは、今の日本企業では見られない。 この本に出てくるプレイヤーは、軍隊にいれば優秀な兵士になったであろう…

「ラーメン屋 vs. マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層―」竹中正治著

新潮新書。アメリカ駐在していたエコノミストによる日米比較論。 アメリカは巨大資本で均一化する一方、日本は少資本で色んな店がある等。 文字の形式でディベート文化とブログ文化に分かれるとか、日本は家が高いから株じゃなくて不動産に金が行くとか、日…

「昭和天皇伝」伊藤之雄著

文春文庫。漫画「昭和天皇物語」より実像を描写しているかな。漫画は若干美化している感じ。 即位したての頃は、理想に力量がついてきてなくて判断を誤り、軍部の支持を失ったことで満州事変等の軍部の暴走を止めることができなかった。 終戦時の頃はある程…

幸福な監視国家・中国

NHK出版新書。中国の監視社会の実態。 よく日本のテレビでやってるようなディストピア的なところまでは実質的には達成していない。 倫理的な行動をすると社会的にメリットが有り、不道徳な行動をするとデメリットがあるように社会が設定されているので、社会…

「新リア王」高村薫著

晴子情歌の続編。晴子情歌で漁師だった息子が禅宗の坊主になって、寺に実の父親の政治家が突然訪ねてくる。そして対話篇へ。 政治話と寺の話が交互に語られる形。両者とも、著者はどうやって政治家や坊主の心情を取材したのか不思議でならん。青森の政治家が…

「赤い人」吉村昭著

ホラー系の話かなと思ったら、囚人服の色で、北海道の刑務所の話でした。 明治初期は北海道開拓期で、全国の囚人を開拓のために北海道に送り込んで重労働させたのですな。 最初の樺戸監獄開設の話から驚きの連続でして、石狩川流域は今でこそ鉄道や車で移動…

「永楽帝――華夷秩序の完成」檀上寛著

講談社学術文庫。 明朝第三代皇帝永楽帝の業績について。 北の守りの燕王が、甥の二代皇帝を倒して三代皇帝になったという話は知っていたものの、詳細な話は知らなかった。蜂起する寸前は戦力を削減されまくって、数百程度しか兵力がなかったんですね。乾坤…

「子産」宮城谷昌光著

春秋時代の鄭の政治家子産のお話。 子産個人というより、鄭の政治家の群像劇って感じかな。 子産は子供の頃のほうがキャラが立ってて、将来を見通す力がすごいんだけど、大人になって政治家になると若干影が薄くなるという・・・ 大国普と楚の間で始終離反し…

「晴子情歌」高村薫著

前に読んだ太陽を曳く馬の前の話。話的にはほとんど繋がりはない、と思う。 母の晴子の人生をベースに、晴子と息子の彰之の二人を主人公として時代の雰囲気とか、青森の旧家の淀んだ血脈とかが主題・・・かな、テーマはよくわからなかった。 親子二人の話と…

「土の城指南」西股総生著

「城取り」の軍事学と似たようなテーマなんだけど、こっちはかなりガチに縄張り図の作成方法を指南している。 城の各パーツの解説が非常に勉強になった。 新しく建てた天守は犬山城そっくりばっかとか、見やすくすることを重視しすぎて跡を破壊しているとか…

「戦国の軍隊 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢」西股総生著

戦国時代の軍隊の構成について。 正社員の武士と非正規の兵士の二重構造だったというのがテーマ。 渡辺勘兵衛の山中城攻めのくだりはとても面白い。山中城は行ったことあるので、どんな感じな城か想像できるのだけど、重装歩兵が曲輪をどんどん突破していく…

「「城取り」の軍事学」 西股総生著

日本の城、主に山城を軍事的視点から考察した内容。 築城者や築城年代が確定している城は2割もないほどで、城にある看板の記載はたいてい根拠がない。領主と城主をごっちゃにしている。 大名が地域の防衛のために差し向けた防衛隊の武将が城主の可能性が高い…

「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」井出明著

悲劇がテーマの観光ガイド。 前に沖縄に行ったときに、海軍司令部壕とかひめゆりとか平和記念公園行ったのが対応してるかなあ。 津波被害の跡は残しておいても仕方がないと思っていたけど、この本で書かれたように、無くすと記憶が消えてしまうというのはも…

「太公望」宮城谷昌光著

上中下。あんまり史料がない題材を、宮城谷先生が想像力で書き上げた。 最初は流浪の青年が、剣術と文字を仙人から修行して超人になるラノベ展開。 中盤はいろんな国に人脈作って対商王朝の裏ネットワーク作成。 終盤は周に士官して、一気に易姓革命。 周の…

「情報参謀」小口日出彦著

2009年自民党が下野してから、テレビとネットの情報データ分析をして情報を提供した話。 政治がネットを重視するようになった黎明期にどのようなことをしていたかという話で、とても興味深い。 多分世界の政治ではもっとディープなことをやっていると思うの…

「類推の山」ドーマル著

ホドロフスキーのホーリーマウンテンの原作と聞いて読んでみたけど、原作とは言えないような。映画の最後とこの小説は逆方向と思われる。 モーとホーとはおなじ体のなかにいるのです。僕はあなたのたったひとりの息子、モーホーなのです。