「戦後日本の安全保障-日米同盟、憲法9条からNSCまで」千々和 泰明著

NATOは欧米の国の連合による軍事同盟であってアジアには無いように思われがちだが、実際はアメリカを中心としたスポーク型の軍事同盟で、有機的に機能しているという指摘。

日本人は日米同盟は日本の防衛のみと思いがちだが、実際は日米同盟と日韓同盟はセットで極東の地域安定を担う。極東1905年体制という、日露戦争後以来の地域秩序を支える。

集団的自衛権違憲論は、50年代当時に自衛隊の合憲性を守るためのその場しのぎの議論であって、それ以上の理由はない。そもそも憲法で戦力不保持を規定したことが天皇制を守るための方策であった。

安全保障上の仕組みは、先々を見据えて合理的に作られたのではなく、その場をしのぐために考案されたものが、未だに本来の理由が忘れられてルールがされている。

等々、過去の経緯から現状、さらに今後の国際情勢に至っての日本の取りうる方策など、非常に資することの多い内容であった。