「インドの正体-「未来の大国」の虚と実」伊藤 融著

インドは民主主義国家とされているが、日本にとって信用できる味方なのか。

実際はどういう感じの政治形態で、どういう戦略で外交を行っているかの解説。

近年はヒンドゥー第一主義で権威主義的な動きを見せ、少数派への弾圧が目立つ。

主要敵国は中国(パキスタンは格下とみなす)。イスラム国家とは敵対関係にあり、イランやタリバンアフガニスタンとは仲が悪い。大陸国家的なパワーバランスから、ロシアと歴史的に仲が良い。そのため、ウクライナ侵攻後も、ロシアに敵対的な言動は取っていない。

中国と敵対関係でありつつ、発展途上国の代表的な立ち位置、インド洋の中枢という地政学的要地であることから、様々な陣営の中間的なポジションを取ることができる。いいとこ取りができる。

インドの今後の立ち位置としては、3つの選択肢。

1.欧米側に属し中露と敵対関係。これはよほど中国に対し劣勢にならない限り取り得ない。

2.中露の側の権威主義体制。中国の影響下に入ることなので、よほどのことがない限り取り得ない。

3.これまで通り、どこにも深入りしない中立的ポジション。これの可能性が高い。日本としても、インドと敵対関係にならないよう、細かい調整を続けつつ付き合っていくしかない。