「ヴィルヘルム2世 - ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」」竹中 亨著

最近読んだフリードリヒ大王の子孫(直系じゃないけど)の話。

ドイツ帝国最後の皇帝ですね。

生まれた時に片手に障害があったので、生母に虐待に近い矯正を受けた。また生母の実家が英王室であり、英独両方にルーツを持つような育ちになった。そのために体のコンプレックスと2面性を持った難しい性格になった。

すごい自信を持って政治に取り組むも、困難に当たるとすぐ投げ出すような性格。

近代の趨勢の立憲君主は傀儡と笑って、絶対王政を目指してしまった。

近代の君主としてはやばい方向に向かってしまったんですな。

かといってウィルヘルムだけに問題があったわけではなく、ドイツ民族の興隆期で、ドイツ民族が自信過剰で勢力拡張に走ってしまった時代にあたってしまったことにこの人の不幸があったわけだ。

イギリス王室や日本の皇室を見てると、この人は君主に向いてないなあと思ってしまう。

第一次大戦後のナチスとのからみも興味深かった。君主制というのはイメージとは違って社会に階級・役割を定めて権力を分散する制度なので、全体主義とは違うものなんですな。そこをウィルヘルムは理解できていなかった。