「戦国大名・北条氏直」黒田 基樹著

戦国大名北条氏五代目氏直の伝記。

最後の当主ということで、小田原攻めで滅んでしまう。

四代当主氏政が実権を握っていて、氏直は影が薄いと思われていたが、実際は氏政は軍事外交を主導し、氏直は統治を担当していたそうな。とは言っても、北条氏の統治機構はかなり完成されていたので、氏直が突出した業績を残したという感じでもない。

氏直は徳川家康の娘督姫を娶ったのが外交的に大きく、秀吉政権との外交は家康を仲介として進めていくことになる。

小田原攻めになる経緯として、家康や他取次役がうまく動かず、秀吉政権と情報がうまく伝達されなかったのが原因の一つとのこと。

小田原攻めに降伏し、氏政ら中枢は切腹することになるものの、氏直は家康の婿という関係から除名される。その後大名に復帰できるものの、復帰直後に病死。氏直が長生きしていれば、家康の婿という関係や元大大名ということから、政治的に重要な働きをしていたかもしれない。氏直没後は嫡子がいなかったので、傍系が継ぎ、正妻の督姫は離縁して実家に戻り、北条氏はあまり注目されない存在になってしまう。