「武田勝頼(二)水の巻」新田次郎著

長篠の戦いから御館の乱まで。これを読んでて電車を二回乗り過ごしてしまった。

通俗的イメージだと長篠の戦いは鉄砲隊で騎馬隊を粉砕という筋書きだけど、新田先生はそうではないと言う。戦闘は8時間程度は続き、鉄砲隊で簡単に粉砕したわけではない。武田軍は兵力が少ないため、戦機を見つけて決定的な打撃を与える必要があった。結局戦機を逃してしまい、兵力差で押し負けて、退却戦で多くの損害を受けたという展開。

長篠の戦いとは逆の展開として、織田軍と本願寺との間の天王寺の戦いでは、本願寺の鉄砲隊に織田の騎馬隊が突撃、側面からの攻撃で本願寺軍を粉砕した。柵などの備えがなければ、騎馬隊で鉄砲隊を撃破可能ということ。

長篠の戦い後は織田徳川の攻勢によって、岩村城や二俣城が陥落。武田は守勢に。

挽回のため武田と北条の同盟を結ぶ。上杉謙信が急死し、景勝と景虎御館の乱が勃発。武田と北条は北条出身の景虎の救援に向かう。

北条に不信を抱く勝頼は、ここで外交的失敗とされる景勝との和議を結んでしまい、北条と手切れになってしまう。新田次郎はこの行動をフォローしているけど、今ではこれが致命的失敗と言われるね。とはいえ、景虎を助けたとして武田がその後生き残れるかはどうなんでしょって感じ。