「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」大木毅著

岩波新書。近年の情報公開で情報がアップデートされた独ソ戦の全体像。

以前パウルカレルの戦記物を何冊か読んだのですが、国防軍擁護の捏造があるとかで、ドイツではもう絶版とのこと。

独ソ戦を始めるのを指示したとか、モスクワを軽視したとかはヒトラーの性で、民間人を殺戮したのは親衛隊というのは間違いで、国防軍がかなり関与してた。

ドイツのほうが戦術が卓越しているが、ソ連が物量で押しつぶしたというイメージは間違いで、「作戦術」(戦術と戦略の中間の概念)ではソ連が圧倒していた。ドイツは目の前の戦闘の積み重ねでした計画を立てられないのに対し、ソ連は作戦術の概念を創出して、戦略目標を達成するために戦役を配置していた。パグラチオン作戦は作戦術の完成形。連続縦深打撃理論は未だによくわからんなあ。

パグラチオン作戦で両軍戦力は160万で、ノルマンディ上陸作戦で両軍戦力は20万なので、第二次大戦の主戦場が独ソ戦というのは明らかだわな。