「北朝の天皇-「室町幕府に翻弄された皇統」の実像」石原 比伊呂著

主に北朝天皇と足利将軍の関係のお話。

よく義満は天皇を簒奪しようとしていたという話があるが、この本では後円融天皇はすごくルーズな人で、時間に厳しい義満は後円融をいじめまくった。息子の後小松天皇に対してはかなり親切に親代わりに接したようで、義満は天皇に厳しいと言うより後円融に厳しいとの話。

鎌倉幕府に比べると、足利家は他の大名に比べて優越性が低く、天皇を使って権威を高めていた。他の大名も領地とかで権威を高めるために、幕府を利用した。そのため初期の室町幕府天皇を将軍が支え、将軍を大名が支えるという構造が存在した。

応仁の乱以降になると、大名は地方への支配を確立し、京都で将軍を支えるという構造が薄れる。将軍の力がなくなって天皇を支えることもできなくなるという構図。

内裏が燃えて天皇上皇が義政亭に同居することになり、飲み会ばかりで公私のけじめがなくなっている描写が興味深い。