「「帝国」ロシアの地政学  「勢力圏」で読むユーラシア戦略」小泉 悠著

ロシアの行動原理等。ウェストファリア的秩序、国家ごとに主権があるという感覚とは異なる国家観で動く。自ら自己決定権がない国家は従属国家に過ぎず、大国によって主権が制限されるという国家観である。そういう意味では日本やドイツは同盟に頼って防衛しているので属国に過ぎず、ロシアと対等に話せる国ではないということですな。

そこから勢力圏という考え方が出て、旧ソ連の国家はロシアに従属するので主権が制限されるということになる。ロシアの安定のために周辺国を不安定にするという戦略はやべーなと思ったり。

北方領土について、北極海ベーリング海弾道ミサイル潜水艦が存在するために、戦略上重要な領域であり、もし北方領土に米軍基地ができると非常に問題である。日本が基地はできないと言っても結局アメリカの意向次第なのであてにならない。もし日本が日米同盟から離れれば、北方領土返還を考えても良い。

対中国について、中国とは国境線が長すぎてもし戦争になると即存亡の危機になるので、敵対関係になることはあってはならない。ロシアの方から関係悪化することはない。中露対立というシナリオは期待できない。