「風よ雲よ」上下 陳舜臣著

明末、江戸時代初頭。大坂の陣の生き残りの安福虎之助が主人公で、彼が狂言回しとなって話が進みます。

前半は鄭成功の父の鄭芝龍が一介の青年から、海賊の頭目にのし上がるお話。虎之助は豊臣家のご落胤とされる少年を守りつつ、鄭芝龍の一味の一員として東奔西走します。

後半は大明帝国の黄昏が描かれていて、北からの清の圧力、西から李自成が迫り、明が滅んでいくさまが圧巻です。李自成が主人公の小説とか、金庸の小説で明が滅ぶさまを見たことがありますが、第三者の虎ノ助の視点で見るのはまた別の趣があります。国が機能していなくても、庶民の暮らしはあるんだなあというところ。