「実在とは何か ――量子力学に残された究極の問い」アダム・ベッカー著

黎明期の量子力学の話から、コペンハーゲン解釈をめぐるボーア・アインシュタイン論争、ボームやベルらコペンハーゲン解釈に疑問を持つ物理学者の話。

内容的には先日読んだカルロ・ロヴェッリの本と近いが、カルロは自分の解釈が正しいという話で、こちらはコペンハーゲン解釈以外に主に3つの解釈があるという話。

「世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論」カルロ・ロヴェッリ - shpolskyのブログ

 

パイロット波を考案したボームは以前読んだクリシュナムルティと対談した物理学者。結構重要な人だったのね・・・

「時間の終焉」クリシュナムルティ著 - shpolskyのブログ

 

ベルの不等式EPRパラドックスに関係しているという名前だけは聞いたことがあったけど、これほど重要な議論だとは知らなかった。ノーベル賞級なのでは。アインシュタインコペンハーゲン解釈に疑問を持ったけど、EPRパラドックスが実験でアインシュタインの疑問を覆す形になったからコペンハーゲン解釈が正しいという見方は正しくない。非局所性が証明された点はアインシュタインの疑問が覆された点だけど、これを持ってコペンハーゲン解釈が正しいとは言えないというのがこの本の主張。

前にドイチェ先生の本を読んだときは、多世界解釈が正しいから量子コンピュータが成り立つと思ったのですが、実は他の解釈でも量子コンピュータは成り立つそうな。だったらどの解釈が正しいか証明できないのでは・・・

エセとの区別はけっこう難しい - shpolskyのブログ

「無限の始まり:ひとはなぜ限りない可能性をもつのか」デイヴィッド・ドイッチュ著 - shpolskyのブログ