「犬の伊勢参り」仁科邦男著

江戸時代、60年ごとの遷宮に対応して、大規模なお伊勢参りブームがあり、人だけではなく犬も伊勢参りをしていたという記録。

決してオカルト的な話ではなく、数々の記録から実際の犬のお参り例は存在し、当時の人には当たり前の事象だった。

作者の分析によると、江戸時代は犬は個人に飼われていたことは少なく、村や町単位で飼われていた。人が抜け参りで移動すると、それを追って犬も移動したことがあったのではないか。当時の人々は神威を信じ、伊勢方面へ向かう犬は伊勢参りに行くものとみなし、食べ物を与えたり伊勢方向へ誘導したりしたのではないか。犬も人の期待を読み取って期待通りに移動して、食べ物にありつくという行動をとったのではないか、という推測。