「占領期―首相たちの新日本」五百旗頭 真著

終戦後の東久邇宮、幣原、吉田、片山、芦田の五名の首相たちについて。

詳細をほとんど知らなかったのでかなり勉強になった。

東久邇宮内閣は、鈴木貫太郎内閣がポツダム宣言受領して解散し、その後の占領軍進駐までの空白期間に軍部が暴発しないために置かれた内閣。皇族陸軍大将としての威厳が必要とされた。GHQ進駐後は、実務能力が乏しいためにすぐに解散となった。

幣原内閣はGHQとの調整のために、過去の外交官と見なされていた幣原を担いたもの。憲法改正について、当初は幣原は明治憲法の修正で済ませようとしたものの、ワシントンとの政治闘争によってマッカーサーがより左的な憲法を押し込み受諾することに。公認には鳩山一郎が継ぎそうだったが民政局によって鳩山が戦犯とされ吉田が首相に。

その後は国内は左派勢力が伸長し、片山芦田が首相になるも、東西冷戦で現実的な保守吉田による長期政権が始まるのでした。

吉田の政治手法として、戦後の親米政権が国内の反米運動を対米交渉力の源泉として活用する方式、という記述になるほどなあと感心。