「牧師、閉鎖病棟に入る。」沼田 和也著

牧師で幼稚園園長だった著者が、精神のバランスを崩して精神病院に入院した体験記。

閉鎖病棟に2ヶ月、開放病棟に1ヶ月入院して退院。その間の病棟で出会った患者との日常や、自分の精神の振り返り。

牧師をやっていて、仏教とかの宗教や哲学の知識があって、語れる人が、日常から阻害された世界について語るという非常に貴重な内容だと思う。閉鎖病棟にいる若い人たちの精神が切ないほど幼く、日常からほんのすぐそばにこんな光景が広がっていることに言葉がない。

よくわかりやすく話すことが重要とされるが、わからないことをわからないと認めつつ、それでも話そうとすることも重要であると思う。言葉にできないことを言葉にしようとする、結構仏教的な気がする。