「戦火と混迷の日々―悲劇のインドシナ」近藤紘一著

著者の前作のサイゴン陥落の話から、その話の関連かと思ったら、カンボジアポルポト政権下で生き残った日本人女性の話だった。

内藤泰子さんはカンボジア男性と結婚して、プノンペンで家族と暮らしていたら、クメール・ルージュによって首都陥落。都会の人の下放政策が開始されて、田舎へ強制移動。途中で子どもたちがみんな死んでしまう。なれない田舎での暮らしで夫とも死に別れるも、泰子さんは必死で生き延びて、ベトナム軍によるカンボジア侵攻でなんとか助かって日本に帰国できた。カンボジア人と結婚した日本人女性で生還できたのは二名だけというとんでもない状況。国民700万人のうち200万人死亡。恐ろしい世界があったものだな。

インドシナ半島で、カンボジアラオスは人口が少なく人口密度も少ない。ベトナムは人口が多く人口密度も多いので、膨張圧が高い。ホーチミン市あたりも300年前はカンボジア領土をベトナムが奪ったもの。という力関係があるそうな。

筆者のインドシナの情勢分析が異様に長くてバランスが悪い気がしたけど、読む価値大。