「背教者ユリアヌス」辻邦生著

ローマ帝国で最後のキリスト教徒でない皇帝ユリアヌスのお話。大作でいつか読んでみたいと思っていたのをやっと読み終わりました。
お話はだいたい三部に分かれてます。
第一部はユリアヌスがコンスタンティヌス大帝の甥として生まれて、大帝の息子コンスタンティウス皇帝に家族を皆殺しにされて、生き残った兄のガッルスと共に幽閉されて成長するお話。後にガッルスは副帝に任命されて帝国東方の防衛を任されますが誅殺されます。
第二部はユリアヌスが副帝に任命されて帝国北方の防衛を任され、軍事的才能を発揮してガリアとゲルマニアを平定します。成功しすぎたため皇帝コンスタンティウスに疑われることになり、結局ユリアヌスは皇帝として独立、コンスタンティウス皇帝と雌雄を決することになりますが、コンスタンティウス皇帝が病死したためローマ帝国全体の皇帝になりました。
第三部はローマ帝国で公認されて一大勢力となっていたキリスト教を押さえ、ローマの神を復興させる努力とその蹉跌、ペルシャでの戦死が書かれます。


ユリアヌスがペルシャで死なずに長生きしてたら、こんなにキリスト教が広まることはなかったのかなあ?でもキリスト教の帝国への侵食はかなりキツイものがあったから、生きていても宗教対立で帝国が揺らいだ可能性も高そうです。
ローマ帝国キリスト教と同じくらい勢力のあったミトラ教とか調べてみると、他にもあったかもしれない歴史がありそうで面白いです。クリスマスは実はミトラ教の祝日だったのをキリスト教がぱくったものだしね。