「フランツ・ヨーゼフ」江村 洋著

オーストリア帝国の事実上の最後の皇帝フランツ・ヨーゼフの伝記。

同時代のビスマルクナポレオン三世の話は読んでまして、その脇役として出てくる人でたいてい負け役。

ドイツやロシアに挟まれて、国民国家の潮流の中で、ボロボロになっていく多民族国家をかろうじてつなぎとめていたという内容でした。

普墺戦争に負けてドイツから追い出されて、バルカン半島に勢力を伸ばしたら、第一次大戦と悲惨・・・

家族も弟がメキシコ皇帝になるも革命で銃殺、長男は謎の情死、皇后のエリザベートは暗殺と悲劇の連続。皇位継承者の甥はサラエボで暗殺。皇帝の気持ちを考えると私も涙が出そう。エリザベートはお芝居とかで人気があるけど、この本では人格的にかなり問題があるという描写。今の女優に結構いそうな感じ。

第一次大戦後に帝国は崩壊したけど、その後の諸国家はナチスドイツとソ連に挟まれて悲惨な運命に。今ではEUとして統合して力を合わせようという流れ(逆の流れもあるけど)があるだけに、オーストリア帝国の意義は結構ある感じ。