「戦後日本の安全保障-日米同盟、憲法9条からNSCまで」千々和 泰明著

NATOは欧米の国の連合による軍事同盟であってアジアには無いように思われがちだが、実際はアメリカを中心としたスポーク型の軍事同盟で、有機的に機能しているという指摘。

日本人は日米同盟は日本の防衛のみと思いがちだが、実際は日米同盟と日韓同盟はセットで極東の地域安定を担う。極東1905年体制という、日露戦争後以来の地域秩序を支える。

集団的自衛権違憲論は、50年代当時に自衛隊の合憲性を守るためのその場しのぎの議論であって、それ以上の理由はない。そもそも憲法で戦力不保持を規定したことが天皇制を守るための方策であった。

安全保障上の仕組みは、先々を見据えて合理的に作られたのではなく、その場をしのぐために考案されたものが、未だに本来の理由が忘れられてルールがされている。

等々、過去の経緯から現状、さらに今後の国際情勢に至っての日本の取りうる方策など、非常に資することの多い内容であった。

「ドラゴンランス 夏の炎の竜(下)」マーガレット ワイス,トレイシー ヒックマン著

ついに最終巻。暗黒騎士団が天下取ったぞ!と喜ぶのも束の間、大司教の塔はまたもや決戦場に。なんなんだろう、関ヶ原岐阜城みたいなところか。

登場人物はすごい勢いで死亡。銀英伝の終盤の様な感じ。

最後は善と悪のマッスルタッグマッチか。

ティールはロードスのアシュラムっぽいかなあと思ったけど、むしろアリアカンがアシュラムなんかも。

「インドの正体-「未来の大国」の虚と実」伊藤 融著

インドは民主主義国家とされているが、日本にとって信用できる味方なのか。

実際はどういう感じの政治形態で、どういう戦略で外交を行っているかの解説。

近年はヒンドゥー第一主義で権威主義的な動きを見せ、少数派への弾圧が目立つ。

主要敵国は中国(パキスタンは格下とみなす)。イスラム国家とは敵対関係にあり、イランやタリバンアフガニスタンとは仲が悪い。大陸国家的なパワーバランスから、ロシアと歴史的に仲が良い。そのため、ウクライナ侵攻後も、ロシアに敵対的な言動は取っていない。

中国と敵対関係でありつつ、発展途上国の代表的な立ち位置、インド洋の中枢という地政学的要地であることから、様々な陣営の中間的なポジションを取ることができる。いいとこ取りができる。

インドの今後の立ち位置としては、3つの選択肢。

1.欧米側に属し中露と敵対関係。これはよほど中国に対し劣勢にならない限り取り得ない。

2.中露の側の権威主義体制。中国の影響下に入ることなので、よほどのことがない限り取り得ない。

3.これまで通り、どこにも深入りしない中立的ポジション。これの可能性が高い。日本としても、インドと敵対関係にならないよう、細かい調整を続けつつ付き合っていくしかない。

「ドラゴンランス 夏の炎の竜(中)」マーガレット ワイス,トレイシー ヒックマン著

大司教の塔の包囲戦でついにあの人が・・・

通勤途中で読んでて、あまりの衝撃で乗り過ごしそうになった。

神様の会議、ぐだぐだで全然神聖感がない(汗)

善と悪の戦いが違う方向に転んでいって次回。

DUNE2

日本での興行成績は良くないらしい・・・終わる前に映画館で見てきました。

前回の話はあんまり覚えてないので、誰が死んだんだっけとか、妹って誰?とかいう状態。

前半はあまり動きがなくって、若干意識が・・・

後半は怒涛の展開で、話が進みすぎてる! 三部あるのこれ?

虫乗シーンは最高ですね。

 

*[三体]

ネットフリックスで公開開始。8話まで。一話見ました。

文化大革命の中国と現代のイギリスを交互に進める展開。原作では現代は中国だったけどイギリスに変えて多国籍にしたっぽい。ただ現代編はまだ退屈で、文化大革命のシーンが必見の迫力。

文化大革命とかイギリスに変えたとか、中国で放映できるの?という疑問が・・・

「ヴィルヘルム2世 - ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」」竹中 亨著

最近読んだフリードリヒ大王の子孫(直系じゃないけど)の話。

ドイツ帝国最後の皇帝ですね。

生まれた時に片手に障害があったので、生母に虐待に近い矯正を受けた。また生母の実家が英王室であり、英独両方にルーツを持つような育ちになった。そのために体のコンプレックスと2面性を持った難しい性格になった。

すごい自信を持って政治に取り組むも、困難に当たるとすぐ投げ出すような性格。

近代の趨勢の立憲君主は傀儡と笑って、絶対王政を目指してしまった。

近代の君主としてはやばい方向に向かってしまったんですな。

かといってウィルヘルムだけに問題があったわけではなく、ドイツ民族の興隆期で、ドイツ民族が自信過剰で勢力拡張に走ってしまった時代にあたってしまったことにこの人の不幸があったわけだ。

イギリス王室や日本の皇室を見てると、この人は君主に向いてないなあと思ってしまう。

第一次大戦後のナチスとのからみも興味深かった。君主制というのはイメージとは違って社会に階級・役割を定めて権力を分散する制度なので、全体主義とは違うものなんですな。そこをウィルヘルムは理解できていなかった。

「ドラゴンランス 夏の炎の竜(上)」M・ワイス,T・ヒックマン

第一章はセカンドジェネレーションのボーナストラックとして収録。

第二章からはウーシャとタッスルホッフの話と、パリンとスティールの話。

セカンドジェネレーションの雰囲気から一転して鬱展開で親たちが可哀想。

カラマンの街ってしょっちゅう包囲されてませんか? ここの太守って評議会から選出される制度なのね。ヴェネツィアみたいな感じか。