「雲と風と ――伝教大師最澄の生涯」永井路子著

小説というよりは、著者が極力伝説の類を排除して読み取った最澄の生涯。

歴史の教科書とかだと最澄桓武天皇の侍僧としていきなり登場するので、結構エリートだと思っていたのですが、そういうことでもないっぽい。近江の地方行政官の子で、家の財産はそれなりにあるけど政治力があるわけではない。子供の頃優秀だったから国分寺の僧侶になれたのですね。

前半が桓武天皇との結びつきから渡唐。

後半は帰国後すぐに桓武天皇崩御し、密教がもてはやされる世の中に。

桓武天皇の周囲の話がかなり多し。怨霊を恐れる桓武天皇最澄による癒やしを必要とした。

天台と真言の捉え方について、最澄空海は最後まで相容れることはなかった。