「彦九郎山河」吉村昭著

幕末の尊王運動の魁、高山彦九郎の生涯。

みなもと太郎風雲児たちの描写はちょっとギャグ風味で話を盛ってて、どこまで作り話かわからんところがある。作者の好き嫌いで人物の善玉悪玉はっきりしてるしね。

吉村昭だと、小説というより旅の宿泊記録かなって感じになる。

実家の兄と折り合いが悪くて戻れなくなり、蝦夷地に行こうと東北行きが話の前半。津軽蝦夷行きが許可されず、津軽や南部を回ることに。ここで東北の飢餓の悲惨さを知る。

京都で尊号事件に遭遇し、幕府に対抗するために島津藩に行って活動することに。

九州に行くも、幕府による締め付けがどんどん厳しくなり、尊号事件も頓挫して進退窮まって切腹という生涯でした。

津軽から鹿児島まで歩いて移動しまくるという行動力がすごい。最初は行く先々で歓迎されるんだけど、幕府に危険視されるとどんどん白い目で見られて行き先がなくなっていくという描写がつらい。