「アラブが見た十字軍」アミン・マルーフ著

アラブ側から見た十字軍との戦いのお話。
アラブ側から見るとキリスト教側は蛮族による無法な侵略以外何物でも無いです。
第一回十字軍の時期だと、アラブはセルジューク朝だったのですが、室町幕府みたいなもので幕府は権力争いでグダグダ、地方領主は近隣同士で取ったり取られたりとグダグダ、エジプトはシーア派で、他のアラブのスンニ派とは敵対関係で、フランクと同盟してスンニ派を攻撃しようとする始末。アラブはフランク(西洋人)の襲来に各個撃破されて、イスラエル王国等フランクの植民地が複数できる状態になってしまいます。
第二回十字軍以降はアラブによる奪還運動が高まって、サラーフッディーンサラディン)が登場。イスラエル等を奪還しますが、これが第三回十字軍の侵攻を招き、獅子心王リチャード、フィリップ二世、モンフェラート侯コンラートとか厨二っぽい連中を招いて大変なことに。
以降領地を取ったり取られたり、休戦したりと50年くらい経つと、今度は東方からモンゴル帝国が来てアラブはさらに大変な状況に。ところが意外にもアラブ側はアイン・ジャールートの戦いでモンゴル軍を撃退してるんですね。この余勢を駆ってフラング側を追い出してアラブの完全奪還を成し遂げて十字軍の時代終了でした。
一番笑えたのは第四回十字軍で、フランクの矛先が東ローマ帝国に向かってコンスタンティノープルが陥落しちゃった時かな。というか悲惨すぎてワロエナイか・・・