パラドックス

チェスタトンの本を読んでますが抜群に面白いです。一見非論理的に聞こえる命題が実は論理的に説明できうるというパラドックスの大家であります。「兵士の規律が完璧だったから任務に失敗した」とか「二人の学者の意見が完璧に一致したから一方が殺された」とか「某国間の意見が完全に一致したから戦争になった」とかね。
私がチェスタトンの言葉の中で一番感銘を受けたのは、ブラウン神父が言った言葉で次のようなものです。だいぶ要約してますけど。
「人が罪を許すのはそれが本当の罪では無いと思ったときに限ってのことであり(罪を許すことのできる十分な理由がある場合であり)、本当に申し訳の立たぬことをした本人も世間も弁解の言葉を知らぬような罪は許せない。それが許せるのは司祭以外に無く、卑劣な唾棄すべき本当の罪を犯した人たちをわれわれに残してください。」
カトリックたるチェスタトンが宗教の存在意義について述べたものだと私は解釈してます。
チェスタトンと虚無思想の山田風太郎とで対談させてみてえなあ。