バルト海沿岸北東ヨーロッパへの十字軍のお話。
十字軍はエルサレム奪回の件が有名であるが、イベリア半島、バルト海沿岸でも行われていた。エルサレムやイベリア半島は、元々キリスト教の土地を奪還するという名目だったが、バルト海沿岸は異教徒をキリスト教化するという踏み込んだ名目だった。
北方十字軍の主力は帯剣騎士団やドイツ騎士団で、プロシアからポーランド、リトアニア方面を侵略した。
ポーランドは早くからキリスト国教化し、神聖ローマ帝国と同等の権威であると主張していた。
リトアニアは、周囲の異教部族が次々と制圧されるのを見て、民族の団結が進み、北方の異教の大国になることができた。
ドイツ騎士団は、リトアニアが大国になって制圧が困難と見ると、定期的な略奪先とするようになった。
リトアニアはドイツ騎士団に対抗するのが難しいと見て、ポーランドと同君連合になることを計った。リトアニア王とポーランド女王が結婚し、リトアニアはキリスト教を国教にする。ドイツ騎士団は周囲に異教国家がなくなり、存在意義がなくなったかに見えたが、リトアニアのキリスト教化は嘘であるとして略奪を続ける。
ドイツ騎士団とリトアニア=ポーランド間でタンネンベルクの戦いが発生し、リトアニア=ポーランドが勝利し、ドイツ騎士団は没落していくことに。
この本読むと、騎士団は実に野蛮だという感想。十字軍の概念はこのあとはイベリアでのレコンキスタや大航海時代に向かっていくことになる。