「アラスカ物語」新田次郎著

明治の頃、石巻の医師の家の三男として生まれた安田恭輔は、祖父と両親を若い時に失い、医師になれずに船乗りになって米国に渡った。

船がアラスカ沖の氷で立ち往生し、安田は単身助けを呼びに行くことに成功。ただ白人の人種差別に直面し、船を降りてアラスカに住むことに。

現地のイヌイットの集落で狩りの腕で頭角を表すも、白人によるクジラの乱獲で、イヌイットは生活が困難に。安田はイヌイットの安住の地と金鉱脈を探しに内陸へ。

実際に金鉱脈を探し当て資金を得るとともに、内陸のインディアンと交渉してイヌイットの住む許可を得ることに成功する。

とまあ激烈な生涯で非常に面白かった。安田はイヌイットの生活の安定のために奮闘したので、資産はほとんどなく、晩年は太平洋戦争で日系人は収容所に入れられて不遇だった。日本に帰ることもなくちょっと悲しかった。

後書きで、作者はアラスカで安田の娘に合うとともに、石巻で安田の親戚に取材していて、そのあたりの話も結構面白い。