「トルコのもう一つの顔」小島剛一著

中公新書。トルコについての解説本かと思って読んでみたら、筆者がトルコに潜入してトルコ政府の監視を受けながら少数民族の言語を調査するというサスペンス小説みたいなびっくりな内容でした。
トルコはトルコ民族単一国家という国是で、実際は少数民族がいるにもかかわらず、少数民族の言語はトルコ語の方言にすぎないという立場を取っているという驚きの事実が書かれています。
著者は研究でトルコの少数民族のところに行って言語の調査をしているのですが、途中でトルコ政府にマークされるようになって監視員がつくようになるというすごい展開になる。監視員は少数民族の人に向かって、お前はトルコ人だよな?と聞き、聞かれた人はそうですと答える。監視員は、ほら少数民族などいないと抗弁するわけですな。
トルコは先進国だと思っていたら、未だにこんな状況だったとは、知らないとは恐ろしいことです。
高野秀行の著書でも、ミャンマーでは少数民族がたくさんいて、アウンサンスーチー少数民族の保護など考えていないという記述があり、どこでも少数民族の問題は大変なものなのだなあと思い出した次第。