「アップル帝国の正体」後藤直義、森川潤著

まれに見る衝撃的な内容。
アップルがファブレス経営で自社工場を持たないとは知っていましたが、ここまで徹底した方法を行っているとは知りませんでした。日本企業が一方的に下請け状態だったとは・・・
シャープの亀山工場はもはやアップルの部品専門状態で発注が切れると生産がすべてストップするとか、
iPhoneのカメラはソニー製で、高性能が故にソニー製のデジカメが食われまくりとか、
新潟県の磨き職人にiPod初期の磨き工程を発注していて、工程をカメラで撮影してノウハウを吸収したら中国に技術移転しちゃうとか、えげつない話でいっぱいです。
サムスンamazongoogleとの戦いで強さに限りが見えてきたと〆。
日本にこういう企業がなぜでないかというより、なぜアメリカにアップル、amazongoogleのような企業が出るかという方が気になります。

「世界史の中の資本主義: エネルギー、食料、国家はどうなるか」水野和夫、川島博之著

四人の異分野の専門家によって、16世紀の長期デフレ状態と現在が類似していることから、現在の状況の把握、将来についての予想について論じられた内容。
エネルギーや食料の供給は現在から将来にわたって過剰気味であること。
資源価格の高騰は需給によるものではなく、マネーの過剰から金融によって生じたもの。
経済的な辺境は開拓され、これからは世界的なデフレの中でところどころでバブルが生じる世界になる。
リーマン・ショック以上のバブルが新興国で生じるだろう。等々といった内容。
先進国が低金利政策でひたすらマネーを供給していることが元凶の一つのわけで、それじゃ他にどうすりゃいいのと言われるとよくわからんというのが現状なのですなあ。過剰の世界でどのように生きていくかというビジョンを持つのが必要ですね。
原油やガスの価格設定の話も参考になりました。