「古代オリエントの宗教」青木健著

講談社現代新書。同新書でマニ教について書いた青木先生が古代オリエントの宗教について紹介した本ですが、かなりオススメの内容です。
諸宗派を聖書シリーズをどう扱うかでカテゴライズしていて非常にわかりやすい。
聖書シリーズが「旧約」「新約」「クルアーン(コーラン)」とあって、諸宗派の受け入れ状況は次のような感じ。
ユダヤ教:旧約 預言者はイエスの前で打ち止め
マンダ教:旧約を認めないユダヤ人の一派。独自聖典
原始キリスト教:旧約+新約 イエスが最終の救世主。
マルキオーン主義:旧約の神と新約の神は別とし、旧約を認めない。
マーニー経:旧約を認めない。新約+独自聖典。マーニーが最後の預言者
イスラム(スンニ派):旧約+新約+クルアーンムハンマドが最後の預言者
イスマーイール派(シーア派):旧約+新約+クルアーン+イマーム言行録。ムハンマドが最後ではなく、預言者を追加可能。

どの聖典を受け入れて、最終預言者を誰にするかで宗教をわかりやすく区別することができます。
スンニ派シーア派の思想的違いを大雑把に理解することができて非常に感動しました。
あとはマンダ教はヨハネを指導者とすると聞いていたのですが、実はこれは偽装で、旧約聖書を否定して分離したユダヤ人の末裔であるということで非常に驚愕しました。実際は旧約聖書を否定したグノーシス的な宗教なのですが、旧約を否定するとイスラムによる攻撃を受けてしまうので洗礼者ヨハネを持ってきたそうです。ホントかよ・・・