「回天の門」藤沢周平著

幕末の志士清河八郎のお話。清河八郎といったら、幕府のお金で有志を募って、集まった有志をそっくり倒幕に使おうとした策士ということで有名です。この集められた人の中で倒幕に反対して抜けた連中が後の新撰組なんですな。ある意味新撰組生みの親。
自分は清河八郎はエリート崩れかと思っていたのですが、実際は全然違うんですね。豊かな郷士出身ですが、長男なのに親の反対を押し切って江戸に出て猛勉強と剣の修行の末、北辰一刀流の達人になって文武両方の塾を開いたという才能と努力の人でした。塾を開いた時期が悪くて、ペリーが開国しに来て政情不安で塾に来る人が少なく、さらに江戸は安政地震とかで塾が被災しまくるという悲運。で桜田門外の変を見て自分も何かするべしと目覚めちゃったんですな。でもほとんど自力で塾を立てた人だから藩の後ろ盾も無く、口舌で回天を図るしかなかったところに不運がありました。最後は幕府の刺客にやられてしまうのでした。