「興亡の世界史 東インド会社とアジアの海」羽田正著

興亡の世界史シリーズとしては異色の、国家ではなく東インド会社がテーマ。
まずポルトガルヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見から。ヴァスコ・ダ・ガマがインドで勢力を得るために、いかに暴力的に振る舞ったかの詳細を見ると、あまりの野蛮さにげんなり。
その後ポルトガル海上帝国が没落し、イギリス、フランス、オランダの東インド会社が勢力を伸ばすことに。
国ごとに東インド会社の性格が違うというのは勉強になる。イギリス東インド会社は初期はむしろ国家と距離を置いていたというのは驚いた。
南アジア、東南アジア、東アジアで、国によって東インド会社の振る舞いが違うというのも面白い。利益を得るためなら、暴力的や従順など対応を使い分けたのですな。
インドで内陸国に対抗するために、領土を得てしまったことが、東インド会社の凋落の原因という指摘。利益を得ることが目的なのに、領土の防衛はコストがかかるんですね。
自由貿易の趨勢から、保護貿易の権化たる東インド会社は滅び去ったのでした。

「三国志」 八巻 宮城谷昌光著

天下三分なり、関羽は樊城で曹仁を追い詰めるも、孫権の裏切りで戦死。
曹操も死に、曹丕禅譲で魏の皇帝となる。
劉備も対抗して蜀の皇帝に。皇帝を称することが非礼の極致ってのは面白いな。
関羽の弔い合戦に呉を攻めるも敗戦し、白帝城劉備も退場。
孫権が羊の皮をかぶった狼的に下げられることが多いんだけど、劉備のほうがよっぽど悪辣な気が。