「興亡の世界史 東インド会社とアジアの海」羽田正著

興亡の世界史シリーズとしては異色の、国家ではなく東インド会社がテーマ。
まずポルトガルヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見から。ヴァスコ・ダ・ガマがインドで勢力を得るために、いかに暴力的に振る舞ったかの詳細を見ると、あまりの野蛮さにげんなり。
その後ポルトガル海上帝国が没落し、イギリス、フランス、オランダの東インド会社が勢力を伸ばすことに。
国ごとに東インド会社の性格が違うというのは勉強になる。イギリス東インド会社は初期はむしろ国家と距離を置いていたというのは驚いた。
南アジア、東南アジア、東アジアで、国によって東インド会社の振る舞いが違うというのも面白い。利益を得るためなら、暴力的や従順など対応を使い分けたのですな。
インドで内陸国に対抗するために、領土を得てしまったことが、東インド会社の凋落の原因という指摘。利益を得ることが目的なのに、領土の防衛はコストがかかるんですね。
自由貿易の趨勢から、保護貿易の権化たる東インド会社は滅び去ったのでした。