「続悪霊列伝」永井路子著

前回は主に平安時代以前の悪霊でしたが、今回は平将門崇徳天皇楠木正成徳川家斉に関する悪霊の話。

時代を経るにしたがって、悪霊のスケールが小さくなる。

平将門崇徳天皇は大魔王的な扱いだけど、実際は恨みの原因になった人たちはほとんど不幸になっていない。後世の庶民向けのお話のネタとして悪霊とされたとの分析。

太平記南朝賛美の本と思われがちだけど、実際は政権批判バリバリで、決して南朝贔屓ではない。楠木正成も終盤悪霊として登場する。

徳川家斉は前の世子の家基が早世したから将軍を継げたわけで、後ろ暗い気持ちがあった。そこをお美代の方の実父の破戒坊主日啓につかれて、悪霊だと吹き込まれて、お寺を建てたりした。江戸時代は平和が続いて、為政者のレベルが下がったとのお話。