「黒船」吉村昭著

幕末の通詞堀達之助のお話。

題名の黒船の経緯は前の作品の海の祭礼のほうが多く、こちらの作品は実はそんなには黒船の話は多くない。

堀達之助はオランダ語通詞で、英語は専門ではなく、黒船来航当初はメインの通詞だったが、途中で英語に達者な森山栄之助に変えられちゃう。

この本のメインの話はその後で、堀達之助はドイツ人商人からの通商文書を上に提出しなかったので、罪に問われて三年投獄されちゃう。牢屋の描写はかなり面白い。

出所後は外国語能力を買われて、英語辞書の作成、函館通詞となったりして、五稜郭の戦いでは青森に避難したりと大変。函館で後妻を貰うも、早く亡くなっちゃって、悲観して仕事をやめて長崎の子供に厄介になって晩年を過ごす。なかなか波乱万丈ね。