「進化の法則は北極のサメが知っていた」渡辺佑基著

河出新書。今年出た新書としてはかなりの傑作。

生物学研究者がフィールドワークの内容を紹介しつつ、動物全体を包括する代謝の法則を解説する。

代謝が体重の2/3乗に比例する(表面積/体積)というのはずっとそう思っていたのですが、実はそうではなくて3/4乗に比例するのが正しいとあって驚き。血管のフラクタル構造を仮定するとこうなるんだそうな。生物学というより物理学の領域ですな。

さらに展開して、代謝、体重、体温の関係から生物の生態が説明できるというのが驚きの法則。

変温動物と恒温動物と2つにカテゴライズするのは間違いで、実際は連続的にいろんな体温の動物が存在する。マグロやホウジロザメは筋肉からの熱量を体内に留める構造になっていて、体温が高い。マグロが止まると窒息するというのは間違いで、実際は止まると熱量が減って体温が下がるので死ぬ。

等々得られる知見が多く、非常に世界が広がる感じの内容でした。