「遺伝子‐親密なる人類史‐」上下 シッダールタ ムカジー著

病の皇帝「がん」に挑むを書いたムカジーの作品。前作ではがんの正体は人間自身の遺伝子だったわけで、遺伝子自体が主題になるのは自然な展開。

前半ではダーウィンとか、優生学とか、遺伝子自体が見つかる前の話で、遺伝を伝える概念は理解されているが、それが実際にどう実装されているかはわからない。

後半でDNAが遺伝子の本体であることが判明してから、遺伝子が実際に扱うことができる存在となり、遺伝子の物理的な構造の判明、ヒトゲノム計画、ゲノム編集技術の向上等、どんどんリアルな話に向かっていく。

個人的に面白かった事例は、インスリン生成や血友病の薬に遺伝子改変ウィルスを使って成功した話。アインシュタインが1939年に、原子核物理で達成した事例を見て、原子爆弾が作成可能であることに気づいた事例と対比して、現状の技術で遺伝子改変した人間を誕生させることが可能であるという話。これは最近中国で実際に行われたというニュースあり。

今は揺籃期を抜け出る直前で、これから爆発的に事態が変わっていくんだろうね。