「幕末の女医 楠本イネ-シーボルトの娘と家族の肖像」宇神幸男著

宇和島在住の著者による楠本イネ本格評伝。司馬遼太郎吉村昭の著書の内容が事実だと思っていたので、結構事実ではないという指摘が多く、非常に参考になった。
イネと娘高子は二人とも舟で犯されて、望まぬ妊娠をしたという話は両方共信憑性が疑われるという指摘。高子の妊娠については、醜聞があったらしく隠蔽工作があったようである。シーボルトが晩年日本で産ませた娘も醜聞があり、なかなか大変。
イネと大村益次郎との恋愛関係もないっぽい。
高子が宇和島伊達藩の奥女中として仕えたあたりの描写は、宇和島藩の雰囲気が伺えて面白い。宗城の性格から、島津よりよっぽど雰囲気が良さそう。嘉蔵が苦労したという話はあるんだけれども。