「「地政学」は殺傷力のある武器である。」兵頭二十八著

兵頭氏による地政学の解説本。前半分くらいは地政学者の紹介で、読んでて割と辛い。
日本の地政学の話になると俄然面白くなり、蒸気船時代は石炭基地が重要で、その観点で基地の位置を見る必要があるとか、もし明治以降の日本が大陸進出しなかったらロシアは朝鮮半島樺太から二方面から圧力をかけることができるので地政学的にヤバイとか面白い話でいっぱいです。満鉄を得ることで、シベリア横断鉄道に途中で圧力をかけることができ、樺太方面の進出を止めることができるのですな。スターリンの時代に大陸から樺太にトンネルを掘る計画があったとのことで、これできてたらシベリア横断鉄道が樺太まで続いてて、北海道やばかった。
南シナ海が日本にとって生命線と言うのは実はそうではなくて、むしろ中国の生命線であり、中国と日本とで有事になったら、日本は中国沿岸を機雷で封鎖して、天然ガスを太平洋側から調達することで中国を締めあげることが可能であると。かなり感心する視点。