「『華厳経』『楞伽経』」中村元著

中村先生による経典の解説本。弘法大師の十住心論の9番が華厳経で興味がわいたので勉強。
お経というのは礼賛的な部分が多くて、パッと見た感じでは含意が掴めないのです。注釈見ないと意味がつかめない。
解説本では筆者の解釈がかなり強いと思うのですが、いきなりお経読んでも全然わかりませんわね。
華厳経の融通無碍な世界観はかなり共感がわきます。これも釈迦の縁起から演繹で導き出された考え方なわけで、龍樹の中論とは表裏一体かと思われるのです。
中論の空にしたって、華厳の世界海にしたって、釈迦はそこまで想定してなかったと思うのですが、考え方の種子は示してたように思います。オリジナルの原始仏教だけが正しいとしてこだわりすぎるのは世界を狭めている気がします。
華厳から真言と不立文字の禅が生まれたという流れも非常に興味深いです。