「生物から見た世界」エクスキュル、クリサート著

岩波文庫
人間は自分の見ている世界が真の世界の形だと思いがちだけど、世界の形はその生物が持つ知覚に依存しているというお話。独自の知覚と行動で生物の数だけ環世界は存在する。
例えばマダニの感覚は、生物の汗の匂いを感知する嗅覚、汗の匂いを感じると落下して触れたものに取り付く触覚、皮膚の暖かさがあると噛み付いて血を吸う温度感覚の三つしかない。
さらにマダニは生物が近くに来るまで何年も何もせず待つことができるという時間感覚を持つ。このような生物の主観的な世界の形とは、人間が感じている世界の形とは全然かけ離れたものである。
ぶっちゃけると、世界が存在してそれを生物が感じているというより、生物が感じているからその世界が存在する、主客転倒なわけですな。このへんは仏教でも割りと根本的な考え方(五蘊)と思われます。