「意識」スーザン・ブラックモア著

岩波書店の1冊でわかるシリーズ。
一見一般人向けの題名だが内容はかなりショッキングだ(笑)
著者は意識に関する研究内容を紹介して、確定している学説はほとんどないと説明。その中で自分が正しいと思われる学説を紹介していく。
意識は霊的な魂のような存在によって現れていると一般には思われているが、脳に非物理的な感受体を持つ部位は存在しないし、それどころか中枢的な部位も存在しない。脳は並列的な処理を行う器官であって、処理を取りまとめる部位は存在しない。
ボーっとしていて、テレビの会話のあるキーワードを意識した時、そのキーワードの前後の会話も意識に入っている。主観的な時間の繰り上げが起きているのか。
この現象の説明として、脳は常に並列処理を行っていて、その処理はどれも意識の流れではない。自分が意識していると感じた時、並列処理の一つを意識として採用する。これだと主観時間のズレは生じない。代わりに意識の流れは意識しないと存在しないことになる。つまり人間に首尾一貫した一本の意識の流れがあるというのは錯覚。
これは冷蔵庫の中の電気という比喩がされていて、冷蔵庫を開けるといつも電気がついているので、電気はいつも付いているものだと思っているけど実際はそうではないこと。でも意識について実際に調べるのは困難であり未確定。
夢も、睡眠中は並列処理されていた内容を、起きた時に一つに再構成しているという説がある。
内的な自我などなく、複数の並行プロセスがあるだけであり、物理学的重心のような「物語的重力の中心」を自我と信じている。自我が持続しているという錯覚が生じるのは、記憶によって自我が持続しているという印象をもたらすから。