「東福門院和子の涙」宮尾登美子著

徳川二代将軍秀忠の末の子で、後水尾天皇に輿入れした東福門院和子のお話。
和子が8歳のときから72歳の崩御まで仕えたゆきの語りで話が進みます。
後水尾天皇といえば隆慶一郎花と火の帝で出てきて、徳川幕府の秀忠タンや柳生軍団と戦っていた記憶があります。隆慶一郎だと秀忠タンはほぼラスボス。明正天皇も萌えキャラで出てたような。
和子に仕えた老女のお通は池波正太郎真田太平記で徳川と豊臣の間で活躍した人で、真田信之が心を寄せた人なんですが、老後も宮中の悪意から和子を守るために苦労の連続でした。なんという伝奇力の高いキャラ。
男からすると、将軍でも天皇でも女性がたくさんお仕えして子供をたくさん作るのが当たり前に思えるんだけど、秀忠の正室お江とか和子の視点からすると許しがたいことなんですな。
和子が男の子を生む前は、天皇の子を孕んだ女御は堕胎薬を飲まされたり、赤子のうちに暗殺されたりされてて、柳生軍団が暗躍してるわけですが、このへんは徳川より宮中側の味方の心情になってしまいます。
和子の涙とかかわいそうだなあと思いつつも、全体的に宮中びいきの気分で読んでしまいました。