「千年の愉楽」中上健次著

枯木灘の作者による短篇集。紀州南端の地にある「路地」で中本の血を引く男たちが宿命的に命を散らせていくお話。文章が非常に特徴的で、言語を読んでいるというより、絵のような模様を見ている気分になります。命を散らせていく男たちの死に様は卑小なんですが、一方で神話の英雄譚の最期のようなドラマ性も感じます。この作者の占める位置というのは本当に特異なものと感じます。