「枯木灘」中上健次著

問題作枯木灘を読了。和歌山県熊野の枯木灘を舞台にした、錯綜しまくってる血縁関係のお話と言うか、小説の形を取った作者の自伝と言うか、説明の難しい濃いお話です。プロットだけ取り出すと結構短い気がするんだけど、この小説のキモはそこではなくて、何度も繰り返される妄執というかそんな作者の独白と言うかドロドロしたものな感じです。アマゾンレビューでドストエフスキーと対比してるのがあるけど、確かにプロットより文章の雰囲気が多くを語るというのはそうかもしれない。最後に主人公のはずだった秋幸が直接触れられなくなって噂だけになるところなんかもカラマーゾフの兄弟のラストみたいな感じか。
作者の他の作品はどうなってるんだろうという疑問があり。