「疫病と世界史」ウィリアム・H. マクニール著

疫病が世界の歴史にどのように影響してきたかを論ずる内容。
熱帯で文明が生じることができず、寒冷地帯や乾燥地帯で文明が生じた理由は疫病があるからだそうです。
ある地域で風土病が根付くにはある程度の人口や家畜といった寄生先が必要で、一度疫病が慢性化したらその地域では小児病となって人口に与えるインパクトは小さくなる。その地域の交通網が発達するとその風土病が感染症となって抵抗力のない他の地方で流行ることになる。
14世紀にヨーロッパでペストが流行したのはモンゴル帝国中央アジアに交通網を発達させたから。
大航海時代アメリカ原住民があっという間に西洋人に征服されたのは、軍事力の差というより疫病によって人口が1/20に減ってしまったから。
等々30年前に書かれた本としては思えないほど面白い考察に満ちてます。予防接種はちゃんと受けられるだけ受けといたほうがいいなあと思ったり。