「つぎはぎ仏教入門」呉智英著

ひさびさに呉氏の著作を読む。てっきり引退したかと思ってました。
仏陀の教えまでさかのぼって、仏教の教えを解説する内容。
仏教とキリスト教とかの他の宗教との根本的違いを指摘しているのは、他にあんまり例がないので非常に良いと思います。キリスト教とかは絶対的存在に救いを求める一方で、仏教は真理を自分で覚るという違いがあって、かなり違う。このあたりの違いを明確に述べているのは自分はチェスタトンくらいしか記憶にないです。
大乗非仏説は松本氏が言ってるので知ってますが、これもあんまり常識になってませんね。密教ヒンズー教由来かと思うのですがどうなんでしょう。
禅宗荘子由来というのは知りませんでした。確かに禅宗の考え方はかなり独特で、なぜこうなったか多少違和感はありました。禅宗の「空」は実は荘子の「無」から来ているというのはなかなか面白い考えです。京極夏彦の「鉄鼠の檻」を読み直すと面白いかも。
仏教思想を考えるにはこの本の内容くらいは踏まえとかないといけないと思います。