「ドキュメント東京電力 福島原発誕生の内幕」田原総一朗著

30年前に書かれたノンフィクションの復刊。
ある意味、松永安左エ門の伝記の後日談であり、現在の福島原発事故の前日譚である。
松永安左エ門の後継者たる東京電力社長木川田一隆による福島原発の導入の話から、石油危機後の燃料費高騰時代における電力忍耐の時代までのお話。
日発がGHQに解体された後も、電力と官僚の戦いが続いたことが語られる。原電や電源開発の誕生理由も、電力と官僚との戦いの一環とされる。この本で語られる内容は、現実の全てではなく、ある方向からの一面に過ぎないと思われるが、このような一面があったことは確かであろう。
燃料費高騰時代では、電力の損益は燃料代次第になり、経営努力によって損益を吸収することができなくなった。電気代の変更を認可するのが経産省であるため、電力への官僚の圧力は増大した。そして、福島原発事故によって、電力は国の統制下におかれる方向へ進むのだろうか?