「十五万両の代償」佐藤雅美著

十一代目将軍家斉の時代のお話。家斉といったら子供が53人もいたというとんでもない将軍なのですが、この本はそっちより経済政策よりのお話です。
十代家治は田沼意次が実験を握ってて、家斉になったら松平定信が入れ替わり。松平定信が失脚した後はしばらくおいて水野忠成、その死後に水野忠邦が実権を握ります。
歴史の教科書だと松平定信とか水野忠邦が改革しようとした有能な政治家みたいに書かれるけど、この本だとそのあたりは綱紀粛正緊縮財政で景気を悪くしたダメ政治家扱いです。田沼や水野忠成は賄賂もらいまくりで腐敗しまくりだけど、自由経済で好景気だったから名宰相扱いです。
水野忠成は貨幣改鋳でインフレ経済やったから昔は評判悪かったのですが、最近の経済理論だと良かったんじゃね?とされるようですね。
家斉の時代は江戸時代空前の好景気で非常に良い時代だったのですが、その後の失政で景気はつぼみ、幕末の混乱期に突入。開国によって通貨レートが混乱し、経済的にも動乱の時代に突入するのでした。このあたりは同じ作者の「大君の通貨」が参考になります。表題の「十五万両の代償」はそれ以外にもいろいろあってあんまり重大なネタじゃないような。