「春にして君を離れ」アガサ・クリスティ著

理想の家庭を築きあげたと思っていた女が、一人旅で孤独を味わったときに、実はそう思っているのは自分だけで家族はそう思ってないのではないかと疑問を持つというお話。妻や母親として愛情を持ってしてきたことが、実は家族にとって幸せになれない押し付けだった・・・
特に殺人があるとかサスペンスではないんだけど、クリスティはこういう話を書けるってのはどういう考えの遍歴をしてきたか気になります。この本の主人公や登場人物みたいな人は、現実には結構いると思いますが、それをここまで客観的に書けるというのは、どこかで自分の思想をひっくり返されるような体験を持たないと難しいような。物の考え方を一度再構築しないと超客観性を持つのは難しいと思います。
山風先生だと、幼少期に両親をなくしたことと、終戦だったのかなあ。