「虹滅記」足立巻一著

やちまたの作者の祖父、父、一族の運命。
作者は幼少の頃に、祖父と二人でフーテンの生活をして、祖父が頓死して親戚に引き取られたという結構ヘヴィな生い立ちです。それでもわりと淡々と祖父や父、親族の物語を縁戚や寺の過去帳、墓石などから綴っていきます。
全然趣は違うのですが、最近読んだガルシア=マルケス百年の孤独も一族の運命を描いたもので、日本的な感じと南米的な感じの違いや近い部分を考えてしまいました。
作者が幼少にいた寺のお姉さんが、幸薄そうに見えて、男子二人を産んで一族を繋いだのには、人の世の不思議さを感じさせます。

「坐禅の仕方と心得」沢木興道著

沢木老師による坐禅の解説。徹頭徹尾、坐禅をしても何もならんよと繰り返す内容で、吉今の仏教ブームのはるか前から仏教の真髄は近くにあったのだと感心した次第。
そのへんの坊さんに法話を聞いても、なんとなく世間的に良さげな話が多いわけで、そんなのは毒にも薬にもならない。いのちがあなたを生きているとかなんやねん。